
「100年に一度」と言われる渋谷駅周辺の大規模再開発「渋谷駅街区計画」の中で、2031年度に完成を予定する渋谷駅直結の施設「渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)」(渋谷区道玄坂1)の起工式が5月19日、工事現場敷地内で行われた。
握手する東急の堀江正博社長、JR東日本の喜勢陽一社長、東京メトロの山村明義社長
2019年に開業した渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)に続く第II期となる中央棟(地上10階・地下2階)と西棟(地上13階・地下4階)は、2031年度に完工を予定する。渋谷駅にそれぞれ乗り入れる東急とJR東日本、東京メトロが合同で進める駅街区の再開発は、2030年度~2034年度を「最終章」と位置付け、今後も同時並行で駅改良や広場の整備などが続く。
渋谷スクランブルスクエアは、今回新たに建設工事に入る「第II期」の中央棟と西棟、第I期の東棟を合わせ全3棟の延べ床面積は約27万6000平方メートル、商業フロアは1フロア当たりの総売り場面積が最大約6000平方メートルと、首都圏最大規模の商業施設になる。中央棟10階屋上には、各国大使館などと連携しグローバルな文化交流体験を提供する施設「10階パビリオン(仮称)」を設け、同棟4階の広場にも先端技術コンテンツを体感できる「4階パビリオン(仮称)」が2033年度に完成。同広場とハチ公広場をつなぐ縦軸移動空間「アーバン・コア」も整備する。
この日、起工式には東急の堀江正博社長、JR東日本の喜勢陽一社長、東京メトロの山村明義社長が参列し、くわ入れの儀や玉串奉奠(ほうてん)などを行い、工事の安全を祈願した。堀江社長は2002(平成14)年の東京メトロ副都心線・東急東横線の相互直通計画を機に、渋谷の再開発と共に鉄道の工事に取り組んできたことに触れつつ、今回の起工式について「大きな節目を迎えることになった」とあいさつ。
一連の再開発では、2030年度に銀座線渋谷駅直上に大型デッキ「スカイウェイ」が完成し、同中央棟にも接続。2034年度には、ハチ公広場をはじめ、「東口地上広場」「中央棟4階広場(JR線路上空、仮称)」「西口3階上空施設(仮称)」「中央棟10階広場(仮称)」の計5広場が完成する計画。
喜勢社長は「東西を結ぶ長さ20メートルを超える自由通路などにより、乗り換えや回遊の利便性は格段に高まる」と続け、「国内外のお客さまに渋谷にたくさん訪れていただけるように、しっかりと責務を果たしていきたい」と意欲を見せた。山村社長は「銀座線の直上にスカイウェイができ、歩行者ネットワークが充実する。アーバン・コアを含めた各種広場が双方向に完成し、駅まち一体のプロジェクト、コミュニティーが形成されることになる」と話した。